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青森地方裁判所 昭和57年(行ウ)5号 判決

原告 竹内卓三

被告 日本専売公社東北支社長

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告が昭和五七年一月二一日付で原告に対してなしたたばこ小売人不指定処分を取消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、昭和五六年一一月七日被告に対し、三沢市大町二丁目三番五号所在の店舗を予定営業所(以下、本件予定営業所という。)としてたばこ小売人の指定申請(以下、本件申請という。)をしたところ、被告は、昭和五七年一月二一日付で原告に対し、本件申請はたばこ専売法第三一条第一項第三号、第四号に各該当するとして不指定とする処分(以下、本件処分という。)をした。そこで原告は、これを不服として同年一月二五日行政不服審査法に基づき審査請求をしたが、日本専売公社総裁は、同年九月一三日付で右請求を棄却する旨の裁決をし、右裁決は同月一六日ころ原告に送達された。

2  しかし、本件処分は違法であるから、原告は、その取消を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は認める。

2  同2の主張は争う。

三  被告の主張

本件申請は、次のとおりたばこ専売法(以下、法という。)第三一条第一項第三号、第四号に該当するから、本件処分は適法である。すなわち、

1  法第二条は、製造たばこの販売等の権能は国に専属すると規定し、第三条は、国に専属する右権能は日本専売公社(以下、公社という。)に行わせると規定し、さらに第二九条第一項は、「公社は、その指定した製造たばこの小売人に製造たばこを販売させることができる。」と、また同条第二項は、「公社又は小売人でなければ製造たばこを販売してはならない。」と規定している。このように法は、製造たばこの販売等の事業について単に行政上の目的から一般的に禁止しているのではなく、国家独占事業たること、すなわち専売制を採用しているのである。従つて、公社のたばこ小売人の指定は、本来国家において独占し、国民の行いえないたばこ販売を特に特定の場合に国民に行わせるものであつて、それは特定人にたばこ販売の権利もしくは資格を設定付与する性質の行政行為(講学上の「特許」といわれるもの。)であるということができ、本来国民が有する自由(営業の自由)を回復せしめる行為ではないといわなければならない。

そして、たばこ小売人の指定が国家の独占事業に淵源する設権行為で、しかも、たばこの販売等について専売制が採用された目的が国の財政上の見地から必要な収入を確保するとともに、公衆のすべてにいかなる土地においても同一品質、同一価格のたばこを販売し、もつて均等にたばこを供給することにあるのであるから、この目的を達成するためには、たばこ小売人の指定にあたつて、その数及び配置について専売品の定価維持、品質保持上の要請及び流通コストの低減等を考慮し、かつ、消費者の利便性への配慮を行い、たばこ小売人に対する指導援助の徹底を期する等により、専売事業の効率的、経済的運営を図るというすぐれて企業政策的あるいは専門技術的な見地に立つた考慮に基づいてなされることが必要とされる。

そのため、法第三一条第一項は、公社によるたばこ小売人の指定について、その適用に幅のある、あるいは公社によつて補完を要する抽象的な規定を設けたうえ、その具体的な適用を公社の企業政策的、あるいは専門技術的見地からの合理的な裁量に委ねているのである。

2  そこで、公社は法第三一条を受けて、たばこ小売人指定に関する内部基準として、「たばこ小売人指定関係規程」(総裁達(促)第六八号、以下、規程という。)及びこれの運用に関する「たばこ小売人指定関係規程運用要領」(以下、要領という。)を制定し、たばこ小売人指定の適正かつ合理化を図り、併せて、たばこ小売人の指定が恣意に流れるのを防止するとともに各指定相互間に矛盾、差異が生ずることのないように担保しているのである。

3  法第三一条第一項は「公社は、左の各号の一に該当する場合においては、小売人の指定をしないことができる。」と規定しているところ、原告のなした本件申請は、同項第三号、第四号に該当するものである。

(一) 第三号に該当することについて

法第三一条第一項第三号は、「営業所の位置が‥‥製造たばこの小売業を営むのに不適当と認められる場合」を不指定事由の一として規定しているところ、規程第三条はこれを受けて、たばこ小売人を適正かつ合理的に配置するために、地域の住宅密集度、繁華街か否か等を指標とする環境区分に応じて五〇メートルから三〇〇メートルの間で標準距離を設定するとともに(なお、この環境区分の認定については、要領2・1・(1)においてその認定標準が定められている。)、第五条の(2)で予定営業所と既設の小売人の営業所との距離がこの標準距離に達しない場合には不指定とする旨定められている。

ところで、本件予定営業所は、市制施行地の繁華街に所在するので、規程第三条によりその標準距離は一〇〇メートルであるところ、本件予定営業所と近接する既設の小売人の営業所との距離は、小島清助小売人については約七七メートル、佐藤和男小売人については約八三メートルであるから、本件申請は、法第三一条第一項第三号の「営業所の位置が‥‥製造たばこの小売業を営むのに不適当と認められる場合」に該当する。

(二) 第四号に該当することについて

法第三一条第一項第四号は、「製造たばこの取扱の予定高が公社の定める標準に達(しない)‥‥場合」を不指定事由としているところ、規程はこれを受けて、第四条第一項で等地別に二〇万円から一八〇万円までの一か月の標準取扱高を定め、さらに要領2・3は環境区分別に応じて等地の範囲を定めていて(市制施行地の繁華街では三ないし五等地と定められている。)、その範囲内で具体的等地を定めることになつている。その方法は、等地は原則としてその範囲内の中間とするものであるが、同じ地区内の既設小売人の一店当たりの平均取扱高に〇・七を乗じて得た金額がその範囲の中間等地の上位の等地に係る標準取扱高を超える場合にはその上位の等地とし、右平均取扱高を〇・七で除して得た金額が中間等地に係る標準取扱高に満たない場合には下位の等地とすることになつている。

ところで、このようにして本件予定営業所の等地を定めると四等地に該当すると認められるところ、その標準取扱高は規程第四条第一項により一か月九〇万円と規定されている。しかるに、被告において本件予定営業所の立地条件、周辺の住宅、事業所等の分布状況、人、車の通行の繁閑度合、既設小売人の配置状況及びその取扱実績等を総合判断した結果、その取扱予定高は一か月約五六万円と算定されたので(なお、取扱予定高の算定方法は、要領3・5の(3)のハで定められている。ちなみに、原告が算出した一か月の取扱予定高は六〇万円となつている。)、法第三一条第一項第四号の「製造たばこの取扱の予定高が公社の定める標準に達(しない)‥‥場合」に該当する。

四  被告の主張に対する認否

1  被告の主張1、2の事実は知らない。

2  同3の(一)のうち、本件予定営業所と小島清助小売人の営業所との距離が約七七メートルであること、佐藤和男小売人の営業所との距離が約八三メートルであること、同3の(二)のうち原告が算出した一か月の取扱予定高が六〇万円であることは認めるが、その余の事実は知らない。

五  原告の反論

製造たばこの製造、販売について専売制を採用したこと、たばこの販売について指定小売人制度を採用したこと自体合理的な理由がないから、法第二条、第三条、第二九条第一項、第二項の規定は、憲法第二二条第一項に違反する。

また、既設小売人との距離及び標準取扱高によつて申請を不指定とすることは、既設小売人の利益に偏し合理的な理由がないから、法第三一条第一項第三号、第四号の規定は憲法第二二条第一項に違反する。

六  原告の反論に対する被告の認否及び再反論

原告の反論はいずれも争う。

基本的人権は、他人の生命、健康への配慮等の観点から内在的に制限を受ける場合(消極目的の制限)と積極的な政策目的実施のために制限を受ける場合(積極目的の制限)とがあるが、精神的自由権とは異り、職業選択の自由(憲法第二二条第一項)等の経済的自由権にあつては、国家の社会経済政策の実施の一手段として、これに合理性のある法的規制措置(積極目的の制限)を講ずることは、もともと憲法が予定し、かつ、許容しているところである。そして、このような法的規制をなすことは、その性質、機能から言つて立法府の政策的・技術的裁量に委ねられるものであり、右規制が、その目的において一応の合理性が認められ、また、規制の手段、態様においてもそれが著しく不合理であることが明白でない限りは、その規制は合憲であるというべきである(最高裁判所昭和四七年一一月二二日判決、刑集二六巻九号五八六頁参照)。

ところで、たばこ専売制は、国の財政収入の確保並びにたばこの安定的な供給の確保という公共目的を推進するために課せられた職業選択の自由に対する積極目的からの制限であつて、規制の目的及び手段、態様において合理的であるというべきであるから、法第二条、第三条の規定は憲法第二二条第一項に違反するものではない。

また、たばこ小売人の指定制を規定した法第二九条第一項、第二項は、たばこ専売制を円滑に施行するために必要な制度であつて、職業選択の自由に対する合理的な制約というべきであるから、憲法第二二条第一項に違反するものではない(東京高等裁判所昭和三二年一〇月三〇日判決、高裁刑集一〇巻九号七三四頁参照)。

さらに、たばこ小売人の指定において、その営業所の位置について法第三一条第一項第三号、規程第五条第一項第二号に基づく標準距離による制限、法第三一条第一項第四号、規程第五条第一項第五号に基づく標準取扱高による制限は、いずれも前記の公共目的を維持するために必要かつ合理的なものである。すなわち、これらの制限は、たばこ小売人が零細化することを防ぎ、その規模を一定のもの以上に保とうとするものであるが、これによりたばこの流通、販売等に要する経費を節減し、たばこについて専売制を採用した主目的である国の財政上の収入の確保を図ることが可能となる。また、右規定による制限なしにたばこ小売人を数多く指定するならば、一見消費者の利便を満たすようにも見えるが、あまりに多くの零細なたばこ小売人を認めることは公社による指導、監督を事実上不可能にするのであり、むしろたばこ小売人を一定規模以上にすることによつて、公社による専売品であるたばこの品質及び価格の保持ができ、国民一般の需要を満たすことが可能となるのである。

従つて、標準距離及び標準取扱高不足によるたばこ小売人指定の制限は、たばこ販売等について専売制を採用する趣旨、目的に適合するものであつて、たばこ専売制の一環として公共の福祉を維持するための必要不可欠の制度であり、何ら憲法第二二条第一項に違反するものではない。

第三証拠〈省略〉

理由

一  請求原因1の事実は当事者間に争いがない。

二  法第三一条第一項第三号、第四号該当事由の有無について

法第三一条第一項は、第三号で「営業所の位置‥‥が製造たばこの小売業を営むのに不適当と認められる場合」を、第四号で「製造たばこの取扱の予定高が公社の定める標準に達(しない)‥‥場合」を申請を不指定とする事由として規定しているが、これらの具体的な適用については、第三号にあつては、営業所をいかなる配置基準をもつてすることがたばこに対する需要量からみて適正かつ合理的であるのか、この適正かつ合理的な配置をいかにして行うのか、また、第四号にあつては、営業所の製造たばこの標準取扱高をいかなる基準でいくらと定めるのが当該地域の環境特性及びたばこに対する需要量からみて適正かつ合理的であるのか、この適正かつ合理的な基準をもとにして当該営業所の取扱予定高をいかにして算定していくかといつた事項が問題となるが、これらは事柄の性質上一義的に定まるものではなく、法は、これを第一次的には公社の企業政策的あるいは専門技術的な合理的裁量に委ねているものと解される。従つて、公社がその判断のために右各号の規定の趣旨を具体化した内部的基準を設定することは是認されるというべきであるが、証人菅野天の証言及び同証言により真正に成立したと認められる乙第一号証の一ないし三によれば、公社は右各号の適用につき、その準拠すべき内部的基準として規程及び要領を制定していること、右規程及び要領に定められた内容が法第三一条第一項各号の趣旨に適つた合理的なものであること、従つて、右規程及び要領に定められた条項に該当する場合には、これに対応する法の右各条項にも該当すると推認されることが認められる。

1  第三号該当事由の有無について

前記乙第一号証の一ないし三、成立に争いのない甲第八号証の五、証人菅野天の証言により原本の存在とその成立が認められる乙第三号証、証人菅野天の証言によれば、規程第三条は、法第三一条第一項第三号を受けて営業所の配置の適正を期するために、地域の環境区分に応じて五〇メートルから三〇〇メートルの標準距離を設定していること、本件予定営業所は三沢市内に所在し、国鉄東北線三沢駅から北東方へ約一・四キロメートルの商店、デパート、劇場、事務所等が連続している地域(三沢商店街)内に位置しているので、規程及び要領による環境区分としては市制施行地の繁華街に該当すること、規程第三条によると、右環境区分の標準距離は一〇〇メートルと定められていることが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

ところで、原告申請に係る本件予定営業所と既設のたばこ小売人の営業所との距離が、小島清助小売人については約七七メートル、佐藤和男小売人については約八三メートルであることは当事者間に争いがないから、本件予定営業所は、規程第三条に定める標準距離が不足しているものと認められる。

従つて、本件申請は法第三一条第一項第三号の「営業所の位置‥‥が製造たばこの小売業を営むのに不適当と認められる場合」に該当するものと認められる。

2  第四号該当事由の有無について

前掲乙第一号証の一ないし三、乙第三号証、証人菅野天の証言及び同証言により原本の存在とその成立が認められる乙第四号証によれば、前記公社の準拠すべき内部基準である規程第四条第一項は、法第三一条第一項第四号を受けて、たばこ小売人の零細化を防ぐ等の目的から、地域の等地別に二〇万円から一八〇万円までの一か月の標準取扱高を定めていること、要領2・3によると、等地の認定標準については、原則として地域の環境区分別に応じて定められている等地の範囲内の中間とするが、同一地区内の既設小売人の一店あたりの平均取扱高に〇・七を乗じて得た金額が、その範囲の中間等地の上位の等地に係る標準取扱高を超える場合にはその上位の等地とし、右平均取扱高を〇・七で除して得た金額が中間等地に係る標準取扱高に満たない場合には下位の等地とする旨定められていること、ところで、本件予定営業所は市制施行地の繁華街に所在するので、その等地は三ないし五の範囲内で定められることになるところ、本件予定営業所と同一地区内の既設小売人の一か月の平均取扱高は八六万二〇〇〇円であるから、これに〇・七を乗じ、あるいはこれを〇・七で除して得た金額と規程第四条第一項による三等地あるいは五等地の一か月の標準取扱高とを比較すると、いずれも等地認定の際の前記例外の場合には該当しないから、本件予定営業所の等地は右の三ないし五の中間等地である四等地と認定され、規程第四条第一項によると、その一か月の標準取扱高は九〇万円であると定められていること、他方、本件予定営業所における一か月の取扱予定高を算出すると別紙のとおり五六万二〇〇〇円となり(なお、本件申請において原告自身が算出した一か月の取扱予定高が六〇万円であることは当事者間に争いがない。)、規程第四条第一項の規定する標準取扱高に達しないことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

そうすると、本件申請は、法第三一条第一項第四号の「製造たばこの取扱の予定高が公社の定める標準に達(しない)‥‥場合」に該当するものと認められる。

三  たばこ専売制等の合憲性について

たばこ専売法は、第二条で製造たばこの販売等の権能は国に専属すると規定するとともに、第三条で国に専属する右権能は公社に行わせると規定して、製造たばこの販売等について公社による専売制を採用して、製造たばこの販売をしようとする者の営業の自由を制限している。これは、その立法の沿革及び立法趣旨等からして、たばこの販売等を専売制にすることによつて、主として国の財政収入を確保するとともに、併せて消費者に対して都会地たると僻地たるとを問わず同一品質、同一価格のたばこを安定的に供給しようとするためのものであると解される。

ところで、このように国の財政収入を確保する等という積極的な国の財政政策を推進するために個人の営業の自由を規制する法的措置の合憲性について判断する場合には、そもそも立法による規制の必要性及び規制手段の選択に関する判断が立法府の政策的、技術的な裁量に委ねられるべきものであることからすれば、裁判所は、立法府の右裁量的判断を尊重するのを原則とし、ただ、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法的規制措置が著しく不合理であることが明白である場合に限つて、これを違憲としてその効力を否定できるものと解するのが相当であるところ(最高裁判所昭和四七年一一月二二日判決、刑集二六巻九号五八六頁参照)、製造たばこの販売等について専売制を採用することは、国の財政収入の確保という立法目的との関連で合理性が肯認でき、著しく不合理であることが明白であるとはいえないから、たばこ販売等について専売制を採用した法第二条、第三条の規定が憲法第二二条第一項に違反するとは認め難い。

次に、法第二九条は、公社はその指定した製造たばこの小売人に製造たばこの販売をさせることができる(第一項)と規定するとともに、公社又は小売人でなければ製造たばこを販売してはならない(第二項)と規定して製造たばこの販売について小売人指定制を採用している。これは、製造たばこの販売を一般国民の自由に委ねた場合に予想される弊害(たとえば、時と場所による販売価格の高低、業者の買占めによる価格の高謄、製造たばこの集中、偏在等)を未然に防止して、製造たばこの販売等について専売制を採用した趣旨、目的を円滑に推進するために必要不可欠の制度であると解せられるから、法第二九条第一項、第二項の規定が憲法第二二条第一項に違反するとは認め難い。

さらに、法第三一条第一項第三号、第四号は、たばこ小売人の指定申請を不指定とする場合の事由に、予定営業所の位置が不適当であること(第三号)、取扱予定高が公社の定める標準取扱高に達しないこと(第四号)を規定している。これは、予定営業所と既設のたばこ小売人の営業所との距離について標準距離を設定してたばこ小売人の適正な配置を図るとともに、たばこ小売人の規模を一定のもの以上に保つてその零細化を防ぐことによつて、たばこの流通、販売等に要する経費を節減し、たばこ販売等につき専売制を採用した主目的である国の財政収入の確保を図り、併せてたばこの品質及び価格を一定に保ち、国民一般の需要を均等に満たそうとするものであるから、立法目的との関連でその合理性を肯認できるうえ、規制の手段態様も著しく不合理であるとはいえない。従つて、法第三一条第一項第三号、第四号の規定は憲法第二二条第一項に違反しているとは認め難い。

四  以上説示したところによると、本件処分は適法であつて原告の請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 竹田國雄 小林正 小池勝雅)

(別紙)

本件予定営業所における一か月の取扱予定高の算出方法

1 本件予定営業所は、既設の小島清助小売人の営業所と佐藤和男小売人の営業所とのほぼ中間に位置するので、本件予定営業所が開設された場合、従前右の二つの営業所で取扱つていたたばこの販売が本件予定営業所を含めた三つの営業所で行われることになる。

2 小島清助小売人及び佐藤和男小売人の一月平均売上高の合計は約一二九万七〇〇〇円であるから、これを本件予定営業所を含めた三つの営業所で取扱う場合、一営業所あたりの月平均売上高は約四三万二〇〇〇円になる。

3 次に、たばこの取扱高は予定営業所の位置、店舗の構造、兼業の種類等の要因によつて影響を受けるので、その点の修正を施すことになる。すなわち、本件予定営業所と近接し、右2で算定した月平均売上高に最も近い売上高を有する既設の営業所と本件予定営業所とを、その位置、店舗の構造、兼業の種類、営業時間等について比較し、予め定められた基準点数に従つて配点して総合点数を算定すると、右既設の営業所が一五四点、本件営業所が二〇〇点となり、その比較割合が一・三(200÷154 ≒ 1.3)となる。

4 そこで、右比較割合を使つて本件予定営業所の一か月の取扱予定高を算定すると、五六万二〇〇〇円(432000×1.3 ≒ 562000)となる。

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